・8日(金)、スリランカ中央銀行は、壊滅的な経済危機による基本財の深刻な不足から高騰したインフレを抑制するため、主要金利を倍増、過去にない700bp(7%)の引上げを実施した。
・多額の債務を抱える同国には輸入品を購入する資金がほとんど残っておらず、燃料や電力、食料、最近では医薬品も不足している。
・5日間の緊急事態宣言と2日間の外出禁止令にもかかわらず、街頭抗議デモは1か月以上にわたりほぼノンストップで繰り広げられている。
・スリランカ中央銀行(CBSL)通貨理事会は、貸付金利を14.50%に、預金金利を13.50%に引き上げた。
・中央銀行は通貨政策レビューで、需要の増加、国内供給の混乱、自国通貨の暴落、世界的商品価格の高騰によりインフレ圧力が続く可能性があると述べている。
・ウィーラシンハ総裁は政策決定後のブリーフィングで、「利上げは投資家や市場に対し、できるだけ早くこの状況から脱却するという強いシグナルを送ることになる」と述べた。
同総裁は外部からの影響を受けずに中央銀行の独立した運営を確保したい考えで、大統領からその権限を与えられ、現在の危機から抜け出す対策を迅速にとるよう求められていると述べた。
「私のメッセージは、盲目的なポジティブではないことをはっきりさせておきたい。現状は困難であり、我々は断固とした行動をとる必要がある。事態は良くなる前に悪化するだろう。しかし、この車がクラッシュする前にブレーキをかける必要がある」と付け加えた。
・3月のインフレ率は18.7%に達しており、あるアナリストは最大400bp(4%)の引上げを予想していた。
・Frontier Research 社のパンドゥワワラ経済調査部長は、
「ようやく金融引締めが明確になったことで、国際通貨基金(IMF) と債務再編に向けた次の重要なステップを踏み、国際社会に明確に発信する準備が整った」と述べた。
・サブリー財務大臣は先に、国は緊急に債務再編をし、外部の金融支援を求めなければならないと述べた。
「我々は債務返済から逃げることはできない。その結果は恐ろしいものとなるからだ。代替案はない。我々は債務再編をしなければならない」と同大臣は国会で述べた。
・一方で主要野党は政府に不信任案を出すと脅し、ビジネス界は輸出が激減する可能性があると警告している。
J.P.モルガンのアナリストは、スリランカの今年の総債務返済額は70億米ドルに達すると推定。7月には10億米ドルの返済を予定している。
・サブリー外務大臣は月曜に任命され、その翌日に辞任を申し出たが、まだ財務大臣の職にあると確認し、
「我々は債務返済をしばらく停止し、国際収支管理のために二国間多国間の支援を得なければならない」と述べた。
・ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領は今週、内閣を総辞職した後、一握りの閣僚だけで政権を運営している。
野党と一部の連立与党参加政党は、この数十年で最悪の危機に対処する統一政府への参加要請を拒否している。少なくとも41人の国会議員が連立与党を離脱して無所属となったが、政府は依然として議会で多数派を占めていると発表している。
・野党 SJB のプレマダーサ党首は、「政府は金融危機に対処してガバナンスの改善に取り組む必要があり、そうでなければ我々は不信任案を提出する」と述べた。
・前法務大臣でもあるサブリー財務大臣は、今月中にIMFとの協議を開始するために政治的安定が必要だと述べた。
ウィーラシンハ中央銀行総裁は、11日(月)にIMFとオンライン会合を開催予定だと述べた。
・8日(金)には、国民2,200万人の 1/5 を雇用する産業界の約20の団体が、IMF、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)に資金援助を求めるよう政府に要請した。
・米ドル不足、運賃上昇、停電により、今年の商品とサービスの輸出がいずれも20〜30%減少する可能性がある。
外貨準備高は過去2年間で約70%急減、3月末には19.3億米ドルに下落している。
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