・スリランカでは、食料品や燃料の価格高騰への怒りが高まり、政府閣僚全員と中央銀行総裁が辞職した。
ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領は、全政党に新政府に参加するよう要請しているが、経済危機が深刻化するなか、街頭での抗議デモ活動は大統領が辞任するまで止まらないという。
・怒りと絶望で沸き立つ島中で、スローガンとプラカードはほぼ一人に向けられている。
「ゴー・ゴータ・ゴー」「ゴー・ゴータ・ゴー」
ゴータはゴタバヤ・ラージャパクサの略称で、悲惨な状況の原因と非難される、この国の大統領だ。
・外出禁止令を無視して抗議デモに参加した母親は、
「彼は去るべきだ。彼は我々からすべてを奪った」と言った。
手作りのプラカードを握りながら、以前の快適な生活から、最大17時間の停電、調理ガスを探す毎日の奔走、ガソリンへの長い行列、という現在の不自由さを説明した。
「病院でさえ薬がなくなり、学校ではテスト用の紙がなくなっているのに、政治家は毎日電気を使える。彼らはガスや灯油の入手に長い列に並んだことがない」と侮蔑するように言った。
彼女は活動家でもなければ抗議者でもなく、政治には関わりたくないと考えているが、こうした抗議デモ参加者は、背景や信仰、年齢を超えた政府に反対する意見のうねりの典型例である。
・スリランカは外貨が不足し、燃料など必需品の輸入代金を支払うことができない。コロナ危機による観光客減少も一因だが、大統領がこの危機の対処を誤ったという声は多い。
・専門家によると、2019年の大統領当選後に導入した大規模減税と輸入禁止が危機を悪化させ、大統領は 国際通貨基金(IMF) からの支援にも消極的だった。
大統領は現在の危機を前政権のせいにしているが、即座に辞任して全責任を負うべき時だと言う人も少なくない。
・国民の不満が高まるにつれ、政府が自らに向けられた批判を封じ込めようとするのではないかとの懸念が高まっている。
3日(日)の外出禁止令は、市民が集まるのを阻止しようとした措置の一つに過ぎない。SNSも遮断し、当局の書面の許可がない限り「公道、公園、列車、海岸にいること」を禁止した。
・外出禁止令のなか、逮捕される危険を冒して抗議デモに参加した1人は、
「自分の権利が奪われたから、外に出てきた。今、失うものは何もない。なぜ外出禁止令が出されたのか?私たちを守るためなのか?まったく意味がわからない」
・赤ちゃんを抱いた男性は、
「尊厳ある退陣を。スリランカはもっと良くなるべきだ」
・野党指導者のプレマダーサ氏は、3日(日)の抗議デモ行動で、独立記念広場に入るのを警察のバリケードに阻まれた。
「私はこれを独裁的で非人道的な措置と呼ぶ。この国の法は、国民が意見を述べ、デモを行い、平和的な民主主義活動を行う権利を保護している」
・大統領が表現の自由を抑圧していると非難されるのは、今回が初めてではない。
・マヒンダ・ラージャパクサは2度大統領を務め、ゴタバヤ・ラージャパクサは内戦末期に国防長官として深刻な人権侵害を行ったと非難されている。
両者とも反対意見を残酷に取り締まるとの評判がある。
・2019年、イースター・サンデーの爆破爆破テロ事件から数か月後、ゴタバヤ・ラージャパクサは「強い手」でスリランカを統治すると約束し、国民の大多数の支持を獲得した。
彼に投票しなかったという1人はこう述べた。
「国民は彼らが国の安全を提供してくれると思ったが、そうではなかった。彼らはすべてで失敗した。
この一族のために国が荒廃するのを見たくない。彼らは権力に固執し貪欲で、おそらくこのままだろう」
・大統領に向けられた怒りは31日(木)に、大統領私邸の外での抗議デモが暴力化し、大統領の目の前に迫った。警察は催涙ガスと放水銃を使用し、数十人の抗議者と報道関係者を逮捕した。
・在スリランカEU代表部は当局に「平和的な自由な集会と反対意見の権利を含む、すべての市民の民主的権利を守る」よう促した。
・この抗議デモ直後、緊急事態宣言が発令され、治安部隊に逮捕拘束の権限が与えられたが、当局は法秩序維持のためだと述べた。週末、西部州では外出禁止令違反で600人以上が逮捕された。
・2日(日)午後、コロンボでの抗議デモを訪れたところ、盾を持った警察がデモ隊から離れたところで見守っていた。参加者の1人は、
「生まれて初めて抗議デモに参加した。これは私の最後の手段。週末には友人とライブや外食に行くのが日常だったが、すべてストップした。私たちは人生の頂点にいる。こんなことがあって、どうやって夢を実現するんだ?
毎日の停電と食費の高騰で、預金は底をついた。この状況を何とかしてくれる政府をください。この政府は私たちのことなど気にもかけていない」と言った。
・生後15か月の男の子を抱いた参加者は言う。
「停電で息子が眠れず疲れ切っている。国会の政治家たちは失格だ。国を混乱に陥れた。政治家は約束を守らない。国民は十分苦しんだ」
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