【CNN 報道】スリランカ経済危機、現地庶民の声 〜 2022年4月3日

・毎日10時間以上の停電で暗闇に包まれ、調理用ガスの不足で家族の食事もままならないことに苛立ち、青年は先週、3日連続でコロンボの街頭に立ち、ろうそくやプラカードを手にして最悪の経済危機に抗議した。
・4日目の夜の木曜日、抗議デモは暴力的になった。
 警察が催涙ガスや放水銃で抗議デモを鎮圧するなか、激怒したデモ隊はレンガを投げつけ、大統領の私邸の前で火を放った。
「人々は怒り、叫んだ。大統領の退陣を要求して大声で叫び、大統領を罵倒していた」と青年は述べた。

・スリランカは1948年の独立以来最悪の経済危機と戦っており、食料、燃料、ガス、医薬品が不足し、基本必需品の価格が高騰している。
 冷蔵庫やエアコン、扇風機を稼働できず、商店は閉店を余儀なくされた。ガソリンスタンドには兵士が配置され、灼熱のもとで何時間も給油のために並ぶ客を落ち着かせている。待っている間に亡くなった人もいる。

木曜日の夜は、スリランカで進行中の経済危機のエスカレートを意味する。
 抗議デモの後、警察は夜間外出禁止令を、大統領は緊急事態宣言を発令し、当局に令状なしに国民を拘束する権限を与えた。
 土曜日の夜には、全国に36時間の外出禁止令を発令し、日曜日に予定されていた抗議デモ活動を事実上禁止した。しかし、抗議デモは土曜日にも実施された。


・政府は国際通貨基金(IMF) に救済を求め、地域の大国にも援助の可能性を求めている。
 しかし国内には怒りが渦巻き、専門家は事態が好転する前に悪化する可能性が高いと警告する。
・市民の一人は「行列に並ぶことが私たちの日常になった。粉ミルクが必要なときはその行列、薬が必要なときはその行列ができる」と話す。
・シンクタンク Advocata Institute ジャフェリー会長は、
「3割は不幸、7割は失策。過去10年間、政府は外国金融機関から巨額の資金を借り入れて公共サービスを拡大してきた。2016年と17年に大モンスーン、18年に憲法危機、19年に連続爆破テロ事件で経済に打撃。
 19年に政権をとったゴタバヤ・ラージャパクサ大統領は、経済活性化に減税。問題を誤診した」と述べる。
・大統領は、兄のマヒンダ元大統領を首相に、多くの政府ポストを軍人と情報機関で埋めた。その後、弟のバシルが財務大臣に就任。
・2020年にコロナ危機が発生、国境閉鎖とロックダウンにより観光に依存したスリランカ経済は打撃を受け、政府は多額の赤字を抱えた。

・ジョージタウン大学国際開発学部教授、元世界銀行チーフエコノミストのデバラジャン氏によると、減税と経済停滞が政府歳入を直撃し、国の信用格付けがデフォルト近くまで引き下げられ、外国市場へのアクセスを失った。
 IMF報告書によると、外貨準備高は2018年の69億米ドルから今年は22億米ドルに減少した。
・外貨不足が燃料や他必需品の輸入に影響し、ロシアのウクライナ侵攻による世界的危機の以前から、計画停電を余儀なくされた。
 先月、政府はルピーの変動を開始、事実上の切下げを行い、対米ドルで通貨は急落。
・ジャフェリー会長は政府の動きを「失策につぐ失策」と表現した。
 首相は「政府が経済運営を誤ったのではなく、コロナ危機が原因の一つ」と述べ、大統領は「この危機は私が作り出したものではない」と述べる。

・あるトゥクトゥク運転手は、家族を養う仕事のために燃料を必要とするが、燃料も食料も配給制で物価は高騰。
 パンの値段は倍以上になり、燃料のわずかな配給では生計を立てられないと言う。
「母、妻、2人の子どもを養いどころか、リース会社にトゥクトゥク購入返済の分割払いもできない」。
働かないわけにはいかないが、生活必需品の購入に長い行列に並ばなければならない。
 道路の清掃をする女性は、仕事をそっと抜け出しては食料を買う短い行列に加わり、急いで戻るという。「休んだら職を失いかねない」。

・貯蓄がある中流層も不満を抱いている。
 ある男性は専門職でそれなりの賃金を得ているが、家族に必要な必需品を入手できないと言う。手元にある医薬品がなくなれば入手が心配で、ガスの使用を控えようとIHヒーターを買ったが頻繁な停電で使えない。
「私も家族もすべてのスリランカ人も、こんな目に遭う筋合いはない。節約していてもこんなに貧乏になったことはない」。

・コロンボの政策シンクタンク幹部は、政府に対する人々の不満のエスカレートを懸念している。
 「良くなるためには(一旦)さらに悪くなる必要がある。大統領や政府への憎悪と怒りが渦巻いている。政府の国会議員は有権者と向き合うことを恐れている」。
・中央銀行によるとインフレ率は昨年9月の6.2%から今年2月には17.5%と、ほぼ3倍に上昇。
「必需品の値段は毎日変わっており、昨日のコメの値段は明日の値段ではない」。
・木曜日の抗議デモとその後の展開は、さらに悪い事態が起こる可能性も示す。
 デモ参加者は「ケガは怖くない。緊急事態宣言が怖い」。

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