・スリランカの警察は、経済危機悪化への怒りからゴタバヤ・ラージャパクサ大統領の私邸を襲撃しようとした大群衆を鎮圧。数十人を逮捕後、首都の夜間外出禁止令を解除。
警察によると、4月1日(金)未明にコロンボ・ミリハナ地区で少なくとも54人を拘束した。抗議者たちを「国に無秩序をもたらそうとする組織的過激派」と断定。警察は、何人かが「鉄パイプ、棒、鋭利な武器を持ち」、大統領官邸襲撃をデモ参加者に扇動したと述べた。
・3月31日(木)夜、Al Jazeera は、数百人の抗議者が大統領私邸への道をブロックするバリケードを押し破り、石を投げて警察と衝突している現場を目撃。
群衆は「Go home Gota, go home!」「ゴタは独裁者だ」と叫ぶなか、警察は催涙ガスと放水銃で応戦した。
・地元紙の映像では、炎上する警察バス、顔を血まみれにした男性を介抱するデモ参加者の姿が映し出された。警察によると、軍用バス2台と自動車が燃やされた。
・当時、大統領が私邸にいたかは明らかにされていない。
・大統領辞任の要求は、外貨不足で政府が燃料や食料、医薬品、他必需品の輸入代金を支払うことができない経済危機を受けてのもの。毎日最大13時間の計画停電が実施され、一部国営病院では手術治療が停止されている。
・政府は国際通貨基金(IMF) に救済を求め、中国とインドにも財政援助を要請。両国は要請された数十億米ドル相当の融資に加え、それぞれ15億米ドルのクレジットの提供を検討中だと伝えられている。
・木曜日の抗議デモ行動は平和的に始まり、私邸から数本離れた道路に数百人が集結した。
参加者の1人は「耐え難い生活費の高騰、燃料不足、停電への抗議のために自発的に来た。これだけの破壊を引き起こした大統領に去ってもらいたい」と述べた。
別の参加者は、「テレビで抗議デモの報道を見て、別の場所から来た。経済があまりにひどく、1日2食を食べるのもやっと。これほど悪い事態はない。ゴタは去らなければならない。誰もが怒っている」と語った。
・デモ行動は街中に広がり、コロンボから中部キャンディへの幹線道路を燃やした丸太で封鎖するなどのデモが起こった。
「私も皆も怒っている。これから何が起こるか誰にもわからない。あちこちで抗議が起こるだろう」。
・専門家は、この経済危機はコロナ危機下でのラージャパクサ政権の誤った政権運営に起因すると述べる。時期を誤った減税で政府財源が枯渇、国境閉鎖で観光収入が消失したなか、政府はIMFへの支援要請を遅らせた。
無策の2年間に外貨準備高は70%減少し、インフレ率は最大55%まで高騰したと推定。
・国際危機管理の専門家は、
「私邸前の抗議でも行動は前例のない怒りと反発の表れ。この抗議デモはスリランカ国民の『行動を起こすという姿勢と意欲の大きな変化』を示す。
しかし、2020年の憲法改正で大統領に並外れた権限が与えられ、国会では与党が大多数を占める。大統領の排除は事実上不可能。
怒りが高まり、暴力的な抗議行動への抑制が弱まっている現状は、民主的な変化の種を含んでいるとしても非常に危険なもの。
多くの人が、政府が暴力に訴えることを恐れている。それは直接的、あるいは、おそらくイスラム教徒に国民の怒りの矛先を向けるよう仕組まれた事件を通じてだ。そのため、影響力のある政府や国連など国際機関による警戒が不可欠だ」と警告する。
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