経済ニュースで知るスリランカ 〜 2020年7月17日

アーユーボワン!

警察当局は、今日7月17日(金)から、
歩道や駐車禁止区域への駐車車両に押収などの
法的措置を取ると警告。

コロンボなどでお車利用の皆さま、お気をつけあそばせ。

スリランカのコロナ関連ニュース

今朝の時点で、スリランカ国内の感染者 2,686人(前日比 12人増)、死者 11人(増減なし)。

カンダカドゥ麻薬受刑者リハビリセンターの
クラスターでは、これまでに 542人の感染を確認。

スリランカのビジネスニュース

信用格付け企業 ICRA Lanka Ltd は、
2020年6月の経済活動は改善を見せていると述べた。

2020年6月の経済活動、特に産業・サービス部門は、電力需要が前年同月と同程度であることからも明らかなように、改善。
・製造業・サービス業ともに、ロックダウン解除により経済活動を再開。雇用の一部が復活。
・受注高は、特に食品・飲料、繊維・アパレルで回復。コロナ危機による供給の混乱は落ち着き。
・移動制限の解除により、貿易・運輸部門の活動が回復。
・レジャー・観光セクターの雇用は引き続き減少。

6月前半はルピーが上昇、外貨準備金が増加したが、法定準備率引下げ後、ルピーは徐々に下落。6月末の外貨準備高は、前月末から 1.93億米ドル(約 207億円)増加。
・インフレ率は穏やかに、金利は低水準を維持、ルピーはおおむね横ばいも軽度の下落、株式は小幅な上昇、商品価格は現状維持、をそれぞれ予想。

中央銀行は、外貨準備高の確保対策を継続すると発表。
すでに発表されている、スリランカ居住者による
国外への送金制限を、7月2日以降も 6か月間継続するもの。

【詳細】中央銀行プレスリリース:
Continuation of Measures Taken to Preserve the Foreign Currency Reserve Position of Sri Lanka

2020年1月〜4月に、スリランカがドナー国・国際機関から
支払いを受けた融資額は 3.69億米ドル(約395億円)。
前年同時期の5.39億米ドル(約577億円)から減少。

中国による融資が 5.94億米ドル(約636億円)でトップ。
 うち、5億米ドル(約535億円)が財政支援融資、6,840万米ドル(約73億円)がプロジェクト向け融資。
アジア開発銀行(ADB)が 9,490米ドル(約102億円)、世界銀行が 7,750万ドル(約83億円)、日本が 6,640万米ドル(約71億円)で続く。

7月11日のニュース でお伝えした、
コロンボ港 東コンテナ・ターミナル(ECT)での
日本・インドとの三国間覚書(MoU)見直しに関する、
日経アジアンレビュー紙記事の日本語版が掲載。

港がらみ(?)でもう一つ。

原油タンカー「マリンホープ」号が
修理のためハンバントータ国際港に寄港。
これまでに同港に寄港したなかで最大規模の船。

この修理は、Colombo Dockyard PLC社 が実施。
同社はハンバントータ港の修理サービス活用へのポテンシャルを認識。
同社とハンバントータ港の提携により、大規模船舶の寄港を期待。

スリランカの研究機関、Pathfinder Foundation の
創設者が、国会議員選挙での経済対策の重要性を主張。

国会議員選挙の多くの候補者が、経済的に意味がなく、スリランカを世界から孤立させる非現実的な主張をする。彼らの内向きの政策は、スリランカ経済の将来に深刻な危機を及ぼし、数世代後の後退を呼ぶ。スリランカのような限られた国内市場による小さな経済は、世界から孤立しては生き残れない。
・世界的なコロナ危機から国を守るため、大統領が効果的なリーダーシップを発揮してきたことは、議論の余地のない事実。世界が苦しんでいるなかスリランカは奇跡的に比較的無傷でいるが、国を開けばこの状況は変わるかもしれず、当たり前と考えてはならない。特にワクチンがまだ入手できていない今、油断はできない。

直面する2つの大きな課題は、① 第2波への予防策と、
 ② 予測不能、不安定で競争が激しい世界に適応して生き延びるための経済再構築。
国民全員が直面している苦境の深刻さを理解し、有権者が投票で情報に基づいた選択ができるよう、候補者と政党が経済政策を明確に提示するよう望まれる。
 (クリントン元大統領陣営が大統領選挙戦で使った)スローガン「経済こそが重要なのだ、愚か者」は、現在の国会議員選挙キャンペーンに通じる。

コロナ危機による経済後退の危機に対し、
特にインフォーマルセクター・貧困層向け対策の
必要性を主張。

・最新の国債発行入札は、記録的な低金利となる 5%以下で 295億ルピー(約 177億円)の借入を可能に。中央銀行は法定準備率を2%に引き下げ、過剰な流動性を作り出した。しかし実際には、政府に安い借入市場を生み、期待されていた経済界の支援・復活のための財政刺激としては十分に機能していない。
・輸出需要の減少、出稼ぎ労働者の国外からの送金の枯渇、急速に崩壊しつつある観光産業、ビジネス環境の悲惨な状況など、幅広い経済問題に焦点。

・産業とビジネスセクターの支援は重要だが、インフォーマルセクターで最も被害を受ける最貧家庭や中間所得者層への社会保護提供も同様に重要。政府措置はこれらへの救済が十分ではなく、危機のさらなる拡大は、大多数の国民所得を非常に低い水準に低下させ、GDPに悪影響を及ぼす。

国際機関報告書は、スリランカに以下の懸念事項を述べている。
GDP が最大 8%まで低下する可能性があり、深い経済不況のリスク。
・労働力の約66%が非正規。社会保護支援が限られる家事労働に従事する女性は、多くがこの脆弱カテゴリーに属している。
・政府は、家計収入を支援し、景気回復を可能にする強力な財政対応の継続が極めて重要。2,330億ルピー(約1,398億円)に相当する GDPの1.5%の総投資を推奨。大多数の人々に届く、公正で透明性のある財政刺激策が必要。

政府は、外貨節約 および 国内事業者への収入・雇用創出のため、
公共事業や ITソフトウエアを含む政府機関への納入につき、
外国企業の入札参加の中止を計画。

輸入制限による輸入代替産業の促進について、
スリランカの過去の経験から否定的な寄稿。

・2020年3月以降、スリランカは輸入規制を強化。国際収支危機の反動とともに、国内の工業化促進も目的。
 国内貿易障壁を設置した輸入代替戦略は、著しい不経済につながる可能性あり。

最も重要な問題は、生産性。
 保護主義の必然的な結果として、小規模で非効率な企業を形成。長期的には経済の足かせに。
・貿易制限により、まず輸入・流通が縮小、その特定セクターの生産高が減少。
 商品貿易に加え、金融(銀行・保険)、物流(輸送・倉庫)、小売流通、国内の船舶・通関業など輸入関連の多くの支援サービスも減少。関税は歳入の過半を占めており、これを補うために他で増税。
・輸入制限対象が中間財の場合、これを投入する産業が被害を受け、生産量や市場の損失を招くす。
 輸入の大部分は中間財(含燃料)と資本設備(含自動車)であり、輸入依存度が高いことを示す。広範囲の輸入禁止は国内産業の息の根を止めることを意味。

・輸入代替の目的の一つは、国内生産構造の多様化と国外需給源依存の減少だが、スリランカの国内市場は小さく、この戦略には限界。小さい市場規模では、国内市場の生産単価が必然的に高くなる。
 これは1965年時点で認識されており、輸出志向の生産促進を試みるように。
 1966年、輸出志向の外国企業に税制優遇措置や為替規制緩和が提供されたが、民間部門活動に不利な政策環境があり成功せず。投資と輸出の急増は、1977年の様々な制限の撤廃後。

1960年代の国際収支危機により、多くの国が輸入代替の実験を行ったが、これを放棄した東アジア諸国が繁栄。
 スリランカ自身の経験では、輸入代替は為替危機の解決に至らず、実際には外国投入物への依存度を高め、その後、為替管理の厳格化が成長の足かせとなった。

Kida
Kida

今日の記事は、
外貨確保・国内企業保護への政府の動き、
に対して、

輸入制限と輸入代替産業育成の限界、
国会議員選挙での経済政策の重要性、
インフォーマルセクター支援、
の意見などなど。

短期的には外貨流出を止める必要がある一方、
中長期的に輸出志向産業を育てるのには
本当に輸入制限・代替で良いのか?
との点で難しいなあ、と思わされます。

産業育成で外資誘致、の視点でいくと、
東南アジアなどと比べて
「スリランカに進出したい!」
と思わせるインセンティブが出ていない
とは思います。
ここでがんばった策が必要かなー、と。

政府は、民間セクター労働者の雇用保険と給与に関し、
セイロン雇用者連盟(EFC)、労働組合、政府間で、
2020年7月までにて合意していた賃金計算制度の
9月までの延長に合意。

従業員が勤務しなかった日数分の賃金について、
14,500ルピー(約8,700円)または基本給の 50%
のいずれか高い額を月の基準として計算するもの。
参考:5月11日のニュース

7月15日のニュース でお伝えした、
ヤーラ(モンスーン)シーズンの水稲購入価格の
50ルピー(約30円)/kg への設定につき、
政府は買取実施に 104億ルピー(約62億円)を割当て。

コングロマリット Abans グループ の歩みを紹介。
祖業の家電小売から、環境・清掃、コロンボシティセンター、
自動車(ヒュンダイ・ヒーロー)、デジタルなど新規事業へ。

Kida
Kida

Abans グループ については、
Spice Up さんのウェブサイトでまとめがあります!

リンク:スリランカでマクドナルドを展開する女性が創業したコングロマリット「エイバンズ(Abans Group)」〜スリランカの大企業3〜

スリランカのポリティカルニュース

選挙管理委員会(EC)は、
一般投票所で投票できない隔離検疫所・自己検疫中の有権者が、
投票できるよう移動式投票所などの準備を検討中と述べた。

昨年の連続爆弾テロ事件について、退役警察幹部は、
268人のVIPに配置された警備官が
攻撃の可能性を伝達されていた、と証言。

Kida
Kida

これはちょっと衝撃です。
当時の政権に情報が入っていたことは
明らかになっていますが、
現場オペレーションレベルまで情報が
降りていたのに、
全体として活用されていない。。。

犠牲者にはやり切れない。

人生にはムダも必要、な情報(今日のムダ)

なんというか、複雑な感想が湧き起こります。

ストゥティ! (ありがとう!)

コメント

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